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バックギャモン見聞録4-あったけぇ虎の穴「水曜バックギャモン」の話

eyecatch

注:この記事は2020/11/15 20:33にNoteへ投稿したものをHatenaBlogへ移設し、加筆・修正したものです。

今回の対象者は以下の通りです

  • 森内チャンネルや「アソビ大全」きっかけで最近バックギャモンを覚えた人
  • 日本人と対戦したい、できれば"ガチ"志向の雰囲気に浸りたい人
  • なんでもいいからトッププロと絡みたい人

最後はちょっと不純すぎる気もしますが、ひとつでも当てはまる方は本文をどうぞ。
今回も多分にネタ臭を含んでおりますので、ご了承ください。

ちょうどね、プロいてますんで、そこに

 私がバックギャモンに出会って約1ヶ月経った2020年10月下旬。
この頃始めたBackgammonGalaxyでレート1400代から1500を超えるかどうかのラインを行ったり来たりして、ややマンネリ化していた時期。
いつものようにYoutubeでお茶を濁していたさなか、このようなテレビ録画の映像を見つけ、そして何度も見直すようになった動画がある。

www.youtube.com

 ここでバックギャモンのレクチャーをしているプロとは、景山 充人(かげやま みちひと)さん。
日本語ブログ 英語サイト 日本語サイト(旧)

バックギャモンの世界は、将棋や囲碁のようにプロの所属団体もなく、当然ながら月給や賞与なども無い。

個人がその身ひとつで海外で行われるの賞金数十万~数百万円規模の大会を狙い、そして入賞していく「トーナメントプロ」であり、指導対局で生徒の力を引き出す「レッスンプロ」でもある。

バックギャモンはサイコロの目が絡むので、練習しただけの結果が出るとは限らない。現地まで飛び、決して安くない参加費を払い、結果が残らなければ「つらい気分しか残らない旅行」をするハメになる。

景山さんをはじめとしたバックギャモンのプロは、そんな境遇のなか結果を残してきた正真正銘の「プロフェッショナル」と言えるだろう。以前に名前が出た望月さんや横田さんも同じ立場で鎬を削っている。

その高い水準で安定した大会成績と業界への貢献が評価され、投票制による世界ランキング「Backgammon Giants」にて2位となっている。トッププレイヤーでも異名で呼ばれることが少ないバックギャモン界で"michy"とよばれる所以でもある。

 しかし上の動画を見るかぎり、そのような厳しい世界に棲んでいる方には見えず、つねに朗らかで歯切れのよいトークを我々に提供してくれる。
(※そういった世界に棲んでいないアマちゃんなイメージで語ってます)
超凄腕でありながら、初中級者に向けた著作も数多く、後進指導も精力的に行っている。
「へーこんな人いるんだな」「気のよさそうなオッチャンだな」「ナイスムーブ!」「ナイスムーブ!」という感想で終わる方々も多いだろう。
私もそうだ。いや、そうだった。

呼びかけに応じて

 現在、TwitterやDiscord上では盛んにギャモナーバックギャモン愛好家をこう呼ぶらしい)同士の交流が行われている。
(※Discordは招待制です。まずはTwitterアカウントを作成しましょう!)
Twitter上で”バックギャモン”などで検索し、「この人勉強熱心だなぁ」と感じたユーザーを片っ端からフォローするだけで、あなたのタイムラインはちょっとしたポジション問題集になるはずだ。
そういった方々は、なぜか殆どがギャモン専用のアカウントで活動しているので、集中してタイムラインを追っていき易い。

私もこうした前例に倣い、昼休みに溜まったつぶやきを消化するためにスマホをスクロールしていく。なお、ポジションのたぐいは見て見ぬフリだ。

ほーん、なんか面白そうだな。でもボコられるんだろうなぁ。って、この人の名前どっかで見たような。そば食うてる人だったっけ…?

 幻覚が醒めたところで参加表明。平時は8名トーナメントのところ、この時だけは16名に拡大されていたのも心理的にエントリーしやすい一因だった。
これは後から知ったのだが、この水曜(隔週)トーナメントは複数回行われ、それぞれの回の優勝者は後日行われるグランドチャンピオン戦に進み、その優勝者には「京すごろく」様より豪華賞品が授与されるとのこと。
しばらくして景山さんのアカウントよりDiscordの招待URLをいただき、無事入室できた。
(※この時点で景山さんご本人が例会を管理運営しているとは露知らず…)

点滅でミュート

 ところで、ここでひとつ大きな障壁があった。
水曜トーナメントDiscordチャンネルには、1番から8番部屋までボイス用チャンネルがズラリと並んでいる。
どうやら、例会の基本ルールとして適度に会話しながら音声を常時オープンにして対局を行うようだ。音声越しでの不正対策風味もちょっと入ってるのだろうか? さて、おらが家にはマイクが無え。

さいわいテレワークの特需が収まりつつあるタイミング。買おうと思えば通勤帰りの電器屋さんに寄って確保することは可能だろう。しかしマイクなど買ったことないからどんなものがよいのか見当もつかない。

 業務中もそのことが気になりすぎて顔に表れていたのか「お前に『悩み』なんて思考回路があるのか?(なにか悩みでもあるんですか?)」と尋ねられてしまう始末。 実は…と打ち明けてみた。
そうすると「いやー自分もテレワークで使うかなァと思って買って、それっきりのマイクがあるんですよ。使ってみます?」と返ってきた。マジか。

https://www.bluemic.com/ja-jp/products/yeti/

彼は翌日これを持ってきた。ドがつく新品である。曰く封だけ開けてそのままとのこと。いやァすごいモノ放置してるんですね貴方…。
(通販サイトでの検索結果で5000円くらいの値段をみながら心理的に右往左往していたのが悲しくなっていたのは言うまでも無い)
「使った後はちゃんとアルコールのウェットティッシュで拭いといてくださいね」とだけ言い残し、彼は出張のため颯爽と姿を消した。

決戦の夜、点滅でミュート

 マイクよし。Galaxyのログインよし。時刻は夜の7時45分。トイレよし。Windowsの更新確認よし。マイクほんとに大丈夫か?
そうこうしているうちに運営のアナウンスによって1回戦の抽選が始まった。ボイスルーム入室よし。
心臓のバクバクが止まらない。マウスが汗でベチョベチョになってきた。Web面接を受けるときってこんな感じなのだろうか?自分には絶対無理だ。
対戦相手の方はまだ現れない。

ポーン。誰かが入室してきた。「Michihito Kageyama(michy)」

あ、運営の人か。相手の方についての連絡かな…?

「どうも、はじめまして。景山です。今回はご参加まことにありがとうございますー」

!?

「どうやらお相手の方、まだいらっしゃってないようなので、こちらから連絡してみますね」

!?

ちょっと待ってご本人だとは思ってませんでしたこっちなんか変な返事してないか自信ないしそもそもこれちゃんとマイク通じてる?点滅でミュートで合ってるよなアレっこれ音量絞るのどっちにノブ回すんだったっけ

ポーン。対戦相手の方が入室。

「○○○ですーよろしくお願いします」

「それではお二方、対戦よろしくお願いいたします」

ス イ マ セ ン コ レ 、 タ イ セ ン カ イ シ シ タ ラ み ゅ ー と シ テ イ イ ン デ シ ョ ウ カ !?

「……まぁ基本は音声通じたままなんですが、どうしてもであればミュートにしても構いませんよ」

スイマセンデシタ、ソノシヨウナラアワセマスノデ…。

というわけで、私は0回戦で盛大に爆発四散した。

門前の小僧

 対戦相手の方々に配慮して詳しい記述は省くが、なんと私は1回戦、2回戦を勝ち上がり、準決勝まで進むことができた。
肝心のPRは20→15→20と、まあ初心者らしい点数が並んでいるが、0回戦の惨状を思えば遥かに上出来である。
何より、普段のGalaxy対戦では味わえない真剣な雰囲気で数多くマッチをこなせたことが何よりも収穫だったし、準決勝では普段の対戦活動ではまず縁が無いであろう超強豪プレイヤーと卓を共にすることができた。

 (私は決勝戦からお邪魔したが)解説役の景山さんが自身のパソコン画面を観覧者と共有させ、リアルタイムで対局の実況解説を行っているのもあり、大会に参加せず見学に徹するのも非常に勉強になると思う。
単なる棋譜再生と違い、勝負どころでの考慮時間の使い方など、指し手の意味がよくわからないレベルの我々であってもその臨場感が痛いくらいに伝わってくるのである。

 決勝戦が超ハイレベルな戦いであったことは、このツイートで伝わってくれると信じて疑わない。まさにSuperHumanでGalacticな戦いであった。
(お二方は『まぁ選択肢が少ない展開でしたので…』と終始謙虚でした)

おわりに

 途中からやや壊れてしまったが、私の興奮が少しでも読者に伝わったなら幸いである。
重要なのは、これはバックギャモンの勉強会の一環であり、主催する景山さんもまた、「我々から何かを吸収しよう」という姿勢をモットーに自ら管理している部分であると強く思う。
 「Galaxyでバックギャモンをやってみようじゃん」という心意気を持った新規勢の皆様は、是非ともこういった例会に参加してみることを強くおすすめしたい。
いきなり現地へ行って失敗するのは嫌だな…という貴方にもオンライン参加はうってつけだ。実力については、むしろ初心者大歓迎といった雰囲気である。 無論、見学だけの申請であっても容易く受け入れてくれるだろう。
なにより景山さんだけでなく、参加者全員が非常に親切で、そして謙虚なのだ。こういった空気感を保ったまま、今後も素晴らしい例会として続いていくことを切に願う。

必要なのは

  • Galaxyのアカウント(見学だけなら不要かも)
  • マイク(借りたらちゃんと拭いて返そう)
  • 謙虚な心

これだけである。あとは定刻に遅れないように。参加お待ちしています!!